2018年2月27日 火曜日
相続税財産評価Q&A74 家屋の評価①
相続税財産評価 家屋の評価①
Q90
父は死亡前に家屋を増築するため、建築業者と500万円で工事請負契約を締結し、その工事が約2分の1程度完成したときに死亡しました。死亡までに父が建築業者に支払った金額は250万円です。
この場合、この増築中の家屋はどのように評価するのでしょうか、
なお、この家屋の従前の固定資産税評価額は2,000万円で、付近には状況の類似した家屋はありません。
A90
従前の家屋の相続税評価額に、増築に係る部分の価額(費用原価の70%相当額)を加算して評価します。
家屋の評価は原則として、固定資産税評価額に一定倍率を乗じて評価します。また、建築中の家屋については工事進行度合いに応ずる費用相当額の70%相当額で評価します。しかし、ご質問のように増築中の家屋については固定資産税評価額が付されていないため、評価基本通達にその評価方法が示されていないことから、評価基本通達5(評価方法の定めのない財産の評価)に基づき評価することとなります。
この「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の価額」は、従前の家屋の固定資産税評価額にその増築に係る部分の価額として、その増築に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基としてその付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増築に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合にはその固定資産税評価額)により評価することになります。
したがって、ご質問の場合、
①従前の家屋の評価額・・・2.000万円(固定資産税評価額×1.0)
②増築部分の評価額・・・500万円×1/2(工事進行度合)×70/100=175万円
③①+②=2,175万円
となります。
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|2018年2月20日 火曜日
相続税財産評価Q73 雑種地④
相続税財産評価Q73 雑種地④
Q89
駐車場の敷地を借り受けています。この敷地にアスファルト舗装をしておりますが、地上権に準ずる権利として、賃借権を評価すべきでしょうか?なお、権利金の授受及び賃借権の登記はありません。
A89
アスファルト舗装だけでは、堅固な構築物の所有を目的とする地上権に準ずる権利とはなりません。
雑種地の価額の評価上控除すべき賃借権の価額は、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価することを原則とします。しかし、簡便的に地上権に準ずる権利と地上権に準ずる賃借権以外の賃借権とに区分して、それぞれ評価することも認められています。
(1)地上権に準ずる賃借権
雑種地の賃借権を地上権に準ずるものとして評価できるものの具体例は、①賃借権につき登記がされているもの、②設定の対価として権利金等の授受がされているもの、③堅固な構築物の所有を目的とするものの3つが例示されています。このことから、地上権に準ずる権利としての賃借権は、地上権と比較しても十分法的に保護されるべき権利でなければなりません。具体例としては、バッティングセンター、立体駐車場、アンテナ塔など堅固な建物・構築物の敷地が挙げられます。
賃借権の評価額は、その雑種地の自用地としての価額に、賃借権の残存期間に応じ次に掲げる割合を乗じて計算した金額とされています。
・残存期間が5年以下・・・5%
・ 5年超10年以下・・・10%
・ 10年超15年以下・・・15%
・ 15年超 ・・・20%
(2)地上権に準ずる賃借権以外の賃借権
地上権に準ずる賃借権以外の賃借権に該当する具体例としては、法人などに一括で貸している駐車場、資材置き場、中古車展示場用地、コインパーキング、トランクルーム(レンタルコンテナ、貸し倉庫)などの簡易なプレハブなどの敷地が挙げられます。
質問の場合のアスファルト舗装だけでは、法的に保護されるべき賃借権として不十分であり、地上権に準ずる賃借権以外の賃借権として評価すべきであると思われます。
この場合の賃借権の評価額は、その雑種地の自用地としての価額に、賃借権の残存期間に応じ(1)に掲げる割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額とされています。
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|2018年2月9日 金曜日
会社分割の要件緩和 創業者の会社貸付金の相続対策
◆会社分割を利用して貸付金の整理
平成29年の税制改正で分割型分割の適格要件が一部緩和されました。その内容はこうです。
単独新設分割型分割にあっては、分割後の株式の保有関係は、分割後にその同一の者と分割承継法人との間にその同一の者による完全支配関係(支配関係含む)が継続することで足り、分割後のその同一の者と分割法人との間の完全支配関係の継続が不要とされました。
そこで、改正後の単独新設分割型分割を利用して創業者の会社貸付金の整理を試みてみます。
◆同族会社と同一の者
この「同一の者」は、親族が単位となりますので、同族会社の場合、親族で株式を保有している例が殆どだと思われますので、いわゆる、会社と同一の者による完全支配関係が成立します。適格要件は満たします。
例えば、甲社は、創業者60%、配偶者10%、子30%の割合で株式を保有されていたとします。この場合、甲社は、「同一の者」による完全支配の関係にあります。
◆創業者の貸付金の整理
具体的な手続きはここからです。甲社は、創業者からの借入金6千万円があり、債務超過でその返済も不能の状態にありますが、現在、事業は縮小しながらも継続して営んでいます。
ここで、甲社は分割法人となり、継続している事業を新設分割により乙社分割承継法人に承継させ、その後、甲社を解散・清算することにしますが、改正後は、同一の者と甲社分割法人との完全支配関係の継続が要件とされませんので、適格要件は満たしており、それは可能と考えます。
甲社は清算の段階で、創業者から6千万円相当額の債務免除を受け、その免除益が計上されることになりますが、既に甲社には残余財産がありませんので、原則として、期限切れ欠損金の利用により、甲社に債務免除益による課税は生じません。
結果として、創業者の会社への貸付金6千万円相当は相続財産から消えます。
但し、創業者の債務免除により当該者から他の株主への「みなし贈与課税」が生ずる余地はあるかもしれません。
なお、この改正は、平成29年10月1日以後に行われる分割から適用されます。
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