2017年2月27日 月曜日
後見人の最後の事務報酬 債務控除の可否
家裁から後見人(保佐人、補助人を含む)に選任されると、後見人は、毎年、家裁に被後見人(被保佐人、被補助人含む)の財産目録を作成し、かつ、後見等(監督)事務報告書を提出することが義務付けられます。事務報告書には、同意した事項(不動産賃貸借契約、保険金の受取等)や代理した事項(不動産の売買契約、施設への入所契約等)があればその旨も記載します。
◆後見人等の報酬
後見人の報酬については、原則、家裁への申し立てが必要で、それには、報酬付与申立事情説明書に必要事項を記載し、さらに、付加報酬を求める場合には、申立書に後見人の同意・代理行為で被後見人が得た利益額(不動産の売買等)等を記載し、その資料を添付しなければなりません。
報酬の額は、家裁が後見事務の内容及び被後見人の財産額などを勘案し、裁量により決定(報酬付与の審判を下す)します。
被後見人の生存中は、以上の事務手続の繰り返しです。
◆被後見人等が死亡した場合
被後見人が死亡すると、その時点で後見人等の権限及び義務は消滅し、後見事務の一切は終了することになりますが、原則、死亡後2ヶ月以内に上記事務手続を実施しその旨を家裁に報告しなければなりません。
また、相続人に対しても財産の引継ぎをしなければなりません。そして、後見人のこの最後の事務報酬についても報酬付与の申し立てをすることになっています。
◆後見人の最後の事務報酬と債務控除
ところで、後見人のこの最後の事務報酬が、被後見人(被相続人)の相続税の課税価格から被後見人の債務として控除できるかどうか、気になるところです。
債務控除の要件は、①被相続人の債務で相続開始の際、現に存するもの、②確実と認められるものです。
この要件を後見人の最後の事務報酬にあてはめてみますと、①被後見人の死亡時には、後見人に法律で定められた事務が既に発生していること、②当該事務について、報酬付与の申し立てがなされる限り、遅滞なく、家裁はその事務内容、被後見人の財産の状況を勘案して報酬額を決定する。
以上のことから、要件は満たされていると思われますので、後見人の最後の事務報酬は、債務控除できるものと考えます(後見監督人も同様)。
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|2017年2月20日 月曜日
相続税財産評価Q&A40 広大地③
相続税財産評価Q&A40 広大地③
Q52
広大地の要件である「開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」とは、どのような状況をいうのでしょうか?
A52
相続税財産評価通達において、「公共公益的施設用地」とは、都市計画法第4条第14項に規定する道路、公園等の公共施設の用に供される土地及び教育施設、医療施設等の公益的施設の用に供される土地をいいます。広大地の評価は、戸建分譲用地として開発した場合に相当規模の「公共公益的施設用地」の負担が生じる土地を前提としていることから、開発区域内に開設される道路の開設の必要性により判定することとなります。
評価対象地に道路の開設が必要かどうかは、その形状や周辺地域の状況から判断しますが、非常に難しい場合も多くあります。一般的な評価対象地の形状による道路負担が生じやすい例を挙げてみます。
1、 角地他の二方以上の路線に面していない
道路に面している距離が長ければ道路負担をせずに長方形の土地を組み合わせた区画割が可能となります。したがって、二方、三方、四方が路地の土地は俗に田切りと呼ばれるような区画割ができやすく道路負担は生じにくいといえます。
また、一方路地でも間口が著しく広くそれに比して奥行が狭い場合には、長方形を横に並べた羊羹切りと呼ばれる区画割が可能となりやはり道路負担は生じにくくなります。
2、 間口より奥行の方が長い、間口が極端に狭い
1とは逆に道路に面している距離が短ければ、道路負担は生じやすくなります。間口が狭く奥行が長大な形状はもちろんですが、土地の形状は四角形でも建築基準法上の道路に面している部分が狭い場合には道路負担が生じやすいといえます。
3、 奥行が25m以上ある
東京23区内では標準的な宅地が100㎡未満の地域もあります。その場合には奥行が25m以上あれば道路負担が生じる可能性が高くなります。
4、 区画割りを想定した場合に6区画以上ある
一方路地で標準的な宅地の面積で区画割をした場合に6区画以上となる場合は道路負担が生じる可能性は高いといえます。
*いずれも付近に旗竿状の土地を組み合わせた開発がない
例外的にその地域に旗竿状の土地を組み合わせた開発が多くみられる場合には、上記1から4の場合でも道路負担が生じない可能性が増えるので注意が必要です。
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|2017年2月17日 金曜日
相続で取得した資産の耐用年数
相続で取得した減価償却資産は、特殊な事例を除いて殆どが中古資産です。そこで、減価償却資産の耐用年数等に関する定めを適用して算出した耐用年数、いわゆる中古資産を取得した場合の簡便法が適用できるかどうか以下の記事ををご覧ください。
相続税取得した減価償却資産の耐用年数
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|2017年2月13日 月曜日
相続税財産評価Q&A39 広大地②
相続税財産評価Q&A39 広大地②
Q51
広大地評価の対象とならない「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(その宅地について、経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいう。)」とは、どのような土地をいうのでしょうか?
A51
標準的な宅地の地積に比して著しく広大な地積に該当しても、その土地を一体で利用することが市場の需給関係等を勘案して合理的であると認められる場合には、地積過大による減価を行う必要がないと考えられ、中高層の集合住宅等の敷地、いわゆるマンション適地等については、広大地の適用対象から除かれています。中高層の集合住宅との範囲については、地上階数3階以上のもので分譲マンションの他賃貸マンションも含むものとされています。
このマンション適地等として使用するのが最有効使用と求められるか否かの判断は、その土地の周辺地域の標準的使用の状況を参考とします。
容積率が300%以上の地域内にあり、かつ、開発許可面積基準以上の土地は、戸建住宅の敷地用地として利用するよりもマンション等の敷地として利用するほうが最有効利用と判定される場合が多いことから、原則として、広大地に該当しないこととされています。
なお、容積率は、建築基準法の規定により用途地域別に指定された指定容積率の他に、前面道路の幅員により計算される基準容積率があります。指定容積率が300%以上であっても前面道路の幅員により基準容積率が300%に満たない場合もあるので注意が必要です。
戸建て住宅とマンション等が混在する地域(主に容積率が200%の地域)は、最有効使用の判定が困難な場合もあります。そこで、このような場合には、周囲の状況や専門家の意見から判断して、あきらかにマンション等の敷地に適していると認められる土地を除き、広大地に該当するとされています。しかし、その判断も最寄駅からの距離、道路の幅員、予定される建築床面積その他周辺地域の使用状況等総合的に勘案することとなりやはり困難を伴います。
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