2016年12月26日 月曜日
相続税財産評価Q&A32
相続税財産評価Q&A32 私道の評価
Q43
私道については、不特定多数の者の通行の用に供されているときは、評価しないこととされています。この「不特定多数の者」について、逐条解説では、行き止まりか、通り抜けかで判断するように書いてありますが、それだけで判断するのですか?行き止まりまでかなり長い距離がある場合でも7割の減額しかできないのでしょうか?
A43
相続税の評価では、私道には、公共の用に供するもの、つまり、不特定多数の者の通行の用に供するいわゆる通り抜け道路とそうでないもの、つまり袋小路のようにもっぱら特定の者の通行の用に供するいわゆる行き止まりとがあるとされています。「特定の者」にはその私道の所有者自身は含まれないと考えられますので、所有者のみが使用する私道は、宅地として評価し私道の減価は行いません。
通り抜けの場合には、特に特定のものに通行を制限してない限り、不特定多数が通行する道路とされます。行き止まりの場合にも、その先に店舗、公園、公民館バス停留所などの公共施設に面している場合などは通り抜けに準じて評価しません。またUの字型の私道など両端が公道に面している場合も同様です。他に、セットバックによって道路を提供し、かつ、現に不特定多数の者の通行の用に供されている場合や、分譲済みの宅地に囲まれた私道など、その所有者が私道のみを有し、地代もとれず、近隣に売却することも困難な場合には評価しなくて差し支えないこととされています。
袋小路のようにもっぱら特定の者の通行の用に供されている私道は、その宅地が私道でないものとして路線価方式または倍率方式で評価した価額の30%で評価します。また、貸宅地内にある私道は、貸宅地として評価した価額に、私道として30%を乗じて評価することになります。
なお、行き止まりまでかなり長い距離があっても評価上は斟酌されることとなりますが、それをもってして不特定多数の通行の用に供されていることにはなりません。
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|2016年12月22日 木曜日
平成29年度税制改正の行方(資産税編)⑥
1、経産省の要望
「高度外国人材等の保有する国外財産に係る相続税等の見直し」
(1)目的
高度外国人材等が働きやすい環境を整備することで、日本企業の国際化及び外資系企業による国内進出や対日直投を後押しするものです。
(2)内容 日本で就労する一定の要件を満たす高度外国人材等が、相続によって取得・贈与する国外財産に係る相続税・贈与税の見直しを図ります。
(3)注目点
租税回避行為を防ぐための納税義務者等の度重なる改正で、日本で就労する外国人が相続ずる国外財産に対してまで相続税が課されることになりました。一時的な居住を除外するなど見直しが必要です。
2、その他の見直し
・タワーマンションの評価見直し
居住用超高層建築物に係る固定資産税の税額の按分方法について、最近の取引価格の傾向を踏まえ高層階ほど高く低層階ほど低くするよう見直しされます。この規定は、平成30年度から新たに課税される居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約締結を除く。)について適用され、既存の建物には影響ありません。
・納税義務者・・・無制限納税義務者は国内に5年以内に居住→10年に
相続人または被相続人が10年以内に住所を有する日本人の場合は、全世界における財産を相続税の課税対象とします。
平成29年4月1日以後の相続・贈与について適用されます。
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|2016年12月19日 月曜日
相続税財産評価Q&A31
相続税財産評価Q&A31
Q42
余剰容積率の移転がある場合、移転の対価を一時金で収受せずに地代に反映させて収受している場合、宅地の相続税評価はどのように勘案されるのでしょうか?
A42
余剰容積率を隣接地に移転した土地は、一定の工作物の建築ができないことになります。一方で余剰容積率の移転を受けた土地は、通常の容積率を超える建物を建築することができます。したがって、移転した土地は、通常の宅地としての評価額から一定の価額を減額し、移転を受けた土地は通常の宅地としての評価額にその価額を増額することとなります。
その評価は、隣地で行われる限定的取引であること、移転の方法も区分地上権の設定、地役権もしくは賃借権の設定によるもの又は余剰容積率利用権の売買によるものなど一様でないこと等から、借地権のように独立の権利として評価することはなじみません。
そこで、個々の事案ごとに設定されている権利の内容、建築物の内容等を勘案して評価することとされ、移転の対価を一時金で授受を行っている場合には、評価通達23により評価することができます。
余剰容積率を移転した宅地の場合・・・次の算式によります。
A×(1-B÷C)
A・・・余剰容積率を移転している宅地の通常の評価額
B・・・区分地上権の設定により収受した対価の額
C・・・区分地上権の設定等の直前における余剰容積率を移転している宅地の通常の取引価額
また、地代で収受している場合でも、区分地上権の設定により余剰容積率を移転している場合には、評価通達25(4)「区分地上権の目的となっている宅地」により評価します。
区分地上権の割合は、原則として立体利用阻害率により、これを求めるには建築できない階層の階層別利用率(公共用地の取得に伴う損失補償基準細則における階層別利用率表による)を用いて次の算式により計算することとなります。
自用地価額-自用地価額×地上権割合
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|2016年12月12日 月曜日
相続税財産評価Q&A30
相続税財産評価Q&A30
Q41
大工場地区で購入した土地に工場を建設する予定ですが、①土地を購入した段階、②工場の設計図ができた段階、③建設業者と請負契約を締結した段階、④基礎工事が終わった段階、⑤引渡しを受けた段階、⑥試運転が開始された段階等、工場が実際に移動するまで様々な段階がありますが、どの段階で「大規模工場用地」と認定されるのでしょうか?
A41
「大規模工場用地」とは、一団の工場用地の地積が5万㎡以上のものをいい、もともと「大工場地区」に限定されています。このような地域にある規模の大きな工場用地の価額は、その地積が極めて大きいことや都市計画法上の利用規制があることから、近接する地域の商業地または住宅地の宅地に比べて個別性の強いものであり、形状は千差万別であることから、通常の宅地の評価方法と異なり、正面路線価に地積を乗ずるだけで、他の画地調整を行わないものとされています。
また、都市計画法により建築可能な建物の用途に制限が加えられていること及び大規模な工場用地を標準として価値形成されていること等を特徴としています。
したがって、土地購入の段階で大規模工場用地として利用されることが相当程度予測されます。また、「大工場地区」に所在する工場用地以外の宅地や雑種地についても、5万㎡以上の大規模なものは、大規模工場用地と代替関係にあることから、大規模工場用地と同様に評価することとされています。
以上のことから、土地を購入した段階で大規模工場用地として評価して差し支えありません。
なお、一団の工場用地とは、工場、研究開発用施設等の敷地の用に供されている宅地及びこれらの宅地に隣接する駐車場、福利厚生施設等の用に供されている一団の土地をいうものとされ、一団の土地の判定は物理的一体性を有するか否かにより行われます。
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